『Dawn of the Jedi』第一部「Force Storm」(1 of 5)

Dawn of the Jedi

この投稿は、「スター・ウォーズの歴史」カテゴリーの最初を飾る記事です。
スター・ウォーズの最古の歴史文献と思われるコミック『Dawn of the Jedi』第一巻のあらすじを紹介し、ポイントを解説しています。

私たちが知っているスター・ウォーズは、「遠い昔」のできごとです。
しかし、それよりももっと、もっと遠い、遥か古代の歴史があるのです。

はじまり

現存するメディアで確認できる中では最古と思われる団体「ダイ・ベンドゥ・オーダー」は、スター・ウォーズ銀河のミッド・リム地域にあるタペー (Thape) と呼ばれる天体で生まれたとされています。創始の日付は記録に残っておらず (発見できず) 明確な年代は不明ですが、この団体は最も古い時代から存在していたことは間違いないでしょう。実際、ダイ・ベンドゥの僧侶たちは、約38,000 BBYごろ、初期ハイパースペース時代として知られる時代には存在し、活動していました。

ダイ・ベンドゥ・オーダーは、別名「ダイ・ベンドゥ教団」、「ダイ・ベンドゥ騎士団」、あるいは単に「ベンドゥ」と呼ばれる場合もありますが、『スター・ウォーズ 反乱者たち』に登場するベンドゥとは異なります。(何らかの関りがある可能性はあります)

当初のダイ・ベンドゥ・オーダーは、数秘術 (数字を使った占いの一種) を研究する平和的な僧侶たちで構成されていましたが、「フォース」の存在を発見したことが彼らに転機をもたらします。
オーダーはフォースの研究を進め、「ミディ・クロリアン」(Midi-chlorian) の存在も発見していた可能性があります。

ミディ・クロリアンの発見は、作中で明言されているわけではありません。

ミディ・クロリアンについて初めて語られたエピソード I 『ファントム・メナス』の公開が1999年。『Dawn of the Jedi: Force Storm』第一巻の発売が2012年だったので、発見されている可能性は十分にあるという私見です。

このページに訪れている読者にこのような説明をするのは「釈迦に説法」かもしれませんが、フォースとは、銀河の万物とともに存在し、それぞれを相互に結び付けている特殊かつ神秘的なエネルギーです。
また、ミディ・クロリアンとは、あらゆる生物の細胞内で共生する極めて微小な有機体、生命体です。ミディ・クロリアンには知性があるとされており、細胞内に一定数存在することで、宿主はフォースを感知できるようになります。よって、フォースを感知し、使用するための潜在能力はミディ・クロリアンの数に比例して高まります。最近ではバッド・バッチなどいくつかの作品中で、エム・カウント (M Count) と表現されていますね。この「M」は言うまでもなく「Midi-chlorian」の頭文字です。

話を戻しましょう。
教団設立後のある時点で、ベンドゥの僧侶たちは、タペーから別の惑星アンド・プライム (Ando Prime) へと旅立ちました。
アンド・プライムはミッド・リムにあり、雪に覆われていました。彼らがそこに移住したのはフォースの結節点 (Force Vergence) があったからです。

たびたび脇道に逸れてしまって申し訳ないですが、フォースの結節点 (Force Vergence) について補足しておきます。
Vergenceは、輻輳ふくそうとも訳され「方々から集まって来ること。寄り集まって込み合うこと。」を意味します。
この用語「Force Vergence」はスター・ウォーズのドラマシリーズ「アコライト」でも頻繁に使用され、吹替では「フォースの集中」と訳されていました。意味的に納得できますし、「結節点」や「輻輳ふくそう」よりもわかりやすくて良いと思います。
よって、当ブログでは以降「フォースの集中 (Force Vergence)」の記述で統一します。

謎の巨大物体


37,453 BBYごろ、ダイ・ベンドゥの僧侶たちは、雪に半分埋もれたピラミッド型をした巨大な物体を発見しました。正体不明の物体に興味をそそられた彼らは、自分たちの言語でそれを「Tho Yor」(ソー・ヨール) と呼びました。僧侶たちはソー・ヨールが別の世界から来たでものであろうと推論しましたが、その目的を知ることも、内部に何があるのかを見ることもできませんでした。それでも、彼らはそこに大きな力が宿っていると感じており、忍耐強い瞑想によっていつの日かその「声」を聞くことができると信じていました。何年もの間、僧侶たちはピラミッドの周りに集まり、大雪の中でも新しい崇拝の対象の前でひざまずいていました。
(https://starwars.fandom.com/wiki/Order_of_Dai_Bendu)

その後1,000年もの長い間、彼らはソー・ヨールに通い瞑想を続け、36,453 BBY、ついに予言が実現することとなります。
いつものように、吹雪の中を瞑想に訪れた修道士たちがソー・ヨールの「声」を聞き、内部に入ることを許されました。ソー・ヨールの「声」が届くのは、フォースを感知できることを意味しており、ソー・ヨールはフォース感応者を判別し、集めていたというわけです。

フォース感応者たちはついにソー・ヨールの内部に入り、それが宇宙船であることを理解したのでした。

最初の移住 (First Migration)

ダイ・ベンドゥ・オーダーはすでにタペーからアンド・プライムに移住しているので、そのできごとが最初の移住なのではないか、との指摘もあるかもしれませんが、物語としての最初の移住 (First Migration) は、アンド・プライムからタイソン (Tython) への移住を指します。

ソー・ヨールは、フォース感応者たちをディープコア領域の惑星タイソンに運ぶため設計されました。
アンド・プライムからソー・ヨールに乗り、タイソンへと降り立ったダイ・ベンドゥの僧侶たち一行は、新事実を目の当たりにします。
彼らと同じく、ソー・ヨールによってタイソンに連れてこられた人々が他にも存在していたことです。
ソー・ヨールは、彼らが搭乗したもの以外に7隻あり、銀河の様々な星に散らばっていました。
合計8隻のソー・ヨールが、それぞれの惑星から選ばれた者たちを集め、タイソンへと導いていたのです。

彼らが到着した後、タイソンでは強力なフォースの嵐 (サブタイトルにもなっているForce Storm) が発生しました。この現象は、惑星タイソンがフォースの不均衡に敏感であることを示していました。嵐は、雷や地震、強風を伴い、到着したフォース感応者たちに惑星の力を実感させました。

タイソンには2つの月があり、移住者たちは明るい方をアシュラ (Ashla) 、暗い方をボガン (Bogan) と名付けました。彼らはそれぞれが光と闇を象徴していることを悟ります。

過酷な状況下、彼らはフォースの探求を続け、フォースから与えられる能力を磨く修行を通じてジェダイ (Je’daii) となりました。

当時のジェダイは「Je’daii」と綴られており、ダイ・ベンドゥ語で「神秘の中心」を意味します。

カタカナでは「ジ・ダイ」と表記するのが良いかとも思いましたが、本ブログでは「ジェダイ (Je’daii)」の表記で統一します。
これが後のジェダイ (Jedi) の起源となりました。

この時代のジェダイ (Je’daii) は、候補生 (Youngling) から始まり、見習い (Apprentice)、旅人/ジャーニア (Journeyer)、レンジャー (Ranger) を経て、最終的にマスター (Master) へと成長します。
私たちになじみ深い、「弟子」を意味する「パダワン」(Padawan) という階級は、この時代にはまだ存在しなかったようです。
移住を続けていた時代ということもあり、星から星へと旅をしては、たどり着いた世界を冒険したりと、単独で動くことが多かったのかもしれません。

しかし、すべての者がフォースに優れたジェダイ (Je’daii) になれたわけではありませんでした。
激しい災害や在来のクリーチャーたちは、強いフォースを持つジェダイ (Je’daii) でさえも苦しめ、ましてや能力が弱い人々にとってタイソンは危険すぎました。

こうして、第二の移住が余儀なくされたのです。

人々は、まず2つの月、アシュラとボガンへ移住していき、徐々に星系内の星々へと移りました。
そしてジェダイ (Je’daii) は徐々に銀河中に広がっていきました。

シカアクワの女王ハディヤ

舞台はタイソンに切り替わります。タイムラインとして、物語中の現在のようです。

昔、ソー・ヨールが集結した崖の上で、ジェダイ (Je’daii) 候補生 (ヤングリング) であろう子供二人に、ジェダイ (Je’daii) ・マスターのケトゥが昔話を語り聞かせていました。
ここまでは、マスター・ケトゥの昔話だったわけです。

銀河中にジェダイ (Je’daii) が広がっていく中で、彼らはフォースの探求を続け、フォースの意志に従い平和維持に貢献しましたが、時には異端者や恐れられる存在も現れます。
その一人が惑星シカアクワ (Shikaakwa) の専制君主、ハディヤ女王 (Queen Hadiya) でした。

彼女は誇り高きトワイレックで、信じるのは自分自身の意志のみでした。
ジェダイ (Je’daii) やフォースの意志にも従わなかったことが引鉄となり、戦争が勃発してしまいます。

その戦争は「デスポット戦争」 (Despot War) と呼ばれました。
数に勝るデスポット軍でしたが、ジェダイ (Je’daii) にはフォースがあります。
多大な犠牲を払いながらも、ジェダイ (Je’daii) によりデスポット軍は鎮圧され、その戦いでハディヤ女王は命を落としました。

この話を単なる昔話と侮る勿れです。マスター・ケトゥの語る昔話に登場するシカアクワという惑星、デスポット戦争、そしてハディヤ女王は、『Dawn of the Jedi』の第一部「Force Storm」の第二巻以降の登場人物たちの過去にも関わっています。

マスター・ケトゥの昔話の中には、「ジェダイ・コード」を思わせる一節も登場します。
微妙に差異があるので、これが少しずつ形を変えて、後のジェダイ・コードになったという設定なのかもしれません。

作品中の一節

無知在らずして、知識在り。
恐怖在らずして、力在り。
我はフォースの心臓であり、光を明かす炎である。
我は闇の神秘であり、
混沌と調和のバランスを保つ…
フォースは不滅

ジェダイ・コード

感情在らずして、平和あり。
無知在らずして、知識あり。
熱情在らずして、平静あり。
混沌在らずして、調和あり。
死在らずして、フォースあり。

無限帝国によるタトゥイーン征服

ところ変わってタトゥイーンへ。

正史でのタトゥイーンは砂の惑星として描かれていますが、この時代には緑豊かな平和で繁栄した惑星だったようです。

しかし、その平和はラカタ族の無限帝国が攻めてきたことにより、無残にも壊されてしまいます。
その征服の先頭に立ったのが、全パートを通して最も重要な登場人物の一人でもあるゼシュ (Xesh) です。

上官のプレドール・タルカー (Predor Tul’kar) に従うフォース・ハウンドとして、ゼシュはタトゥイーン征服で功績を上げました。
その後、タルカーの上官にあたるプレドール・スカルナス (Predor Skal’nas) の命令により惑星ビス (Byss) へ戻ることとなります。

「プレドール」とは、無限帝国の高官の役職名です。また、プレドール同士にも上下関係があります。

ビスの指令センターではプレドール・スカルナスと、そのフォース・ハウンドのトリル (Trill) が二人を待ち受けていました。

ラカタはフォース豊かな惑星を探しており、そのような星を特定するのは不可能と主張するトリルに対し、ゼシュは可能と主張します。

二人はライバル関係でもあり、そのやりとりが引き鉄となって戦いへと発展し、トリルは「自惚れ屋の嘘吐き」とゼシュを罵りながら襲いかかります。
ゼシュ優勢で戦いは進み、トリルを組み伏せたところで、プレドール・スカルナスが制止しました。

完全決着はつかなかったものの、ゼシュはこの戦いで、口だけの「自惚れ屋」などではなく高い実力を備えていることを証明し、トリルはそれを身をもって知ったのでした。

ラカタがフォース豊かな惑星を探しているのは、フォース感応者を捉えてハウンドにするためだけでなく、ハウンドとして相応しくない者は、フォースを搾り取って艦隊の動力源にもしていました。

こうしてゼシュは、プレドール・タルカーとともにフォース豊かな惑星を探し出すためビスから旅立ちます。

ここから物語は大きく展開していくこととなります。

ゼシュとラカタ

記事に個人名と未知の種族が出てきたので、それぞれを紹介し、この投稿はいったん区切りたいと思います。

ゼシュはフォース感応者の人間男性です。
幼少期にラカタ (Rakata) に捉えられ、無限帝国 (Infinite Empire) で奴隷として過ごした後、フォースのダークサイドの訓練を受け、プレドール・タルカーのフォース・ハウンドとなりました。
フォース・ハウンドとは、フォース感応者で、無限帝国のラカタたちに仕える従者を指します。

「ゼシュ」は実名ではありません。(実名は第三部『Force War』の第二巻で明かされます。)
ラカタによって顔、背中、腕に烙印を押され、その文字がオーラベッシュ文字のゼシュであったことが名前の由来となりました。

また、ゼシュのライバルとして登場するフォース・ハウンドのトリルも、オーラベッシュ文字のトリルが名前となっています。

ラカタとは、銀河の未知領域にある惑星レホン (Lehon) を母星とする種族です。
ヒューマノイドに分類されていますが、縦長の頭蓋骨から横に飛び出した目、長く鋭い爪をともなう3本の指、赤オレンジ緑といった様々な色の皮膚などの特徴から、外見は両生類のように見えます。
彼らは肉食で、その対象は知的生物、果ては同類にまで及びました。
さらに悪いことに、ラカタは強いフォース感応力、そして高度な技術力も持ち合わせていました。

無限帝国 (Infinite Empire) とはラカタが築いた帝国で、ラカタの帝国 (Rakatan Empire) の名でも知られます。
日本では、両方をつなげて「ラカタの無限帝国」「ラカタン無限帝国」と呼ばれることも多いです。

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