スター・ウォーズのドラマシリーズ『キャシアン・アンドー』(原題:ANDOR)のシーズン2、第7話から第9話についてレビューしています。
『キャシアン・アンドー』は、Disney+(ディズニープラス)で視聴できます。
※ 入会が必要です。
この3話から、シーズン2後半のストーリーが展開されます。
ネタバレは最低限にとどめ、物語の展開を詳細にお伝えすることはできる限り控えるよう努めましたが、今回の3話は極めて重厚です。
最終の3話を残していますが、これ以上のドラマがあるのか?と思わせるほど重厚な内容となっているため、ある程度のストーリーに触れざるを得ませんでした。
各エピソードのタイトルとあらすじ
今回の3話は、それぞれのタイトルがまさに各エピソードを一言で表すのに相応しいものになっており秀逸です。
第7話 『メッセンジャー』
スター・ウォーズ銀河での象徴的な建造物のひとつ、ヤヴィンのグレートテンプルに反乱組織のメンバーが集結し、徐々に軍隊としての体裁が整いつつありました。
キャシアンとビックスの姿もそこにあり、ルーセンのチームとは少し距離を置いて、反乱軍情報将校としての働きに比重が置かれているように感じました。
ルーセンのやり方について「もう少数では(帝国に)太刀打ちできない」、「軍隊を作るにはリスクも必要」と主張するキャシアンに対し、ウィルモンは「ルーセンは行動している」と擁護します。
どちらにも一理あり、主義主張の違いによって完全に一体化することも難しい状況も理解できます。
ウィルモンはゴーマンにいたようで、デドラ・ミーロに警備がついておらず絶好のチャンスだと、キャシアンに彼女の暗殺を持ち掛けます。
一方、ゴーマンでは、多数のマスコミがゴーマン人の抵抗者たちを「テロリスト」、活動を「テロ」と報道し続け、銀河を扇動しています。
報道されているのは爆破事件で、それは帝国側の自作自演でした。しかし真実とかけ離れた内容であっても、それがマスコミを通して拡散されると、あたかも事実のように扱われてしまいます。それはリアル世界でも同じようなものでしょう。
その状況から帝国は「機は熟した」と判断し、カルカイトの採掘を強行することをパータガス少佐からデドラ・ミーロに伝えられました。
カルカイトは星の核近くにあり、その採掘は星そのものの生命を脅かす可能性があります。さすがのデドラも顔が引きつっていました。
コルサントでは、ゴーマンの悲惨な現状をなんとかしようとモン・モスマが奔走していました。
モスマに対する帝国の監視の目は日に日に強まり、ドライバーはスパイ、オフィスには盗聴器が仕掛けられている可能性もあって、行動には慎重を期す必要に迫られていました。
各勢力に属するキーマンたちの思惑が、あらゆる場所で交錯します。
エピソードの中盤では、ヤヴィン基地に「フォース・ヒーラー」が登場します。
短編アニメ・シリーズ『テイルズ・オブ・エンパイア』では、ジェダイ・テンプル爆破事件の黒幕としてジェダイを追放されたバリス・オフィーが、罪を償うためにフォース・ヒーラーとして人々の病やケガを治療していましたが、今回登場したフォース・ヒーラーは元ジェダイのようには感じられませんでした。
ヒーラーは、キャシアンのことを指して「メッセンジャー」だと言いました。
この言葉が後に、ビックスにある決断をさせる要因のひとつになったように私には思えました。
そしてキャシアンも意を決し、ウィルモンとともにUウイングに乗ってゴーマンへ。キャシアンといえばUウイングですよね。
ホテルに到着すると、受付には前回キャシアンがゴーマンを訪れた際に部屋で会話した男の姿があります。
前回とは雰囲気が変わり、彼も何かを決意したような表情になっていました。
兵士や政治家だけではなく、一般市民も戦うことができるのです。
第8話 『お前は誰だ?』
ゴーマンでは、ホテルの一室に潜んだキャシアンがブラスターライフルを組み立て、デドラ・ミーロ暗殺のための準備を整えています。
外が騒がしくなり、窓から様子をうかがうと、帝国が保安局ビルのまわりにバリケードを建設しようとしていました。
キャシアン、ウィルモン、ゴーマン戦線の人々はもちろんのこと、帝国内部のデドラすらその真相を知らないようです。
何が起きようとしているのでしょうか。
ゴーマン戦線のリーダー、カロ・ライランツは、これが帝国の罠であり、まんまと策略にのってデモが誘い出されたことに気づきます。
しかし、時すでに遅し…。
歴史的悲劇へと向かう濁流を止めることは、もはや誰にもできない状況になっていました。
おびただしい数のゴーマン人たちは、大声を上げながらパルモ広場に向かって歩みを進め、その道すがら数をさらに増やしていきます。
単調とも言える人々の叫びとともに邁進するデモの中に感じるのは、得も言われぬ緊迫感。
「私は引き金。君は指だ。」
- カイドー大尉
この第8話は、ストーリーを通して重苦しく、人々にとって良い知らせはありません。
事の真相に勘付いたシリル・カーンは、保安局ビルにデドラを尋ねます。そこで通された一室には、6体のKXドロイド(K-2SOと同タイプ)が椅子に座っていました。
シリルが部屋に入ると全てのドロイドがシリルの方に顔を向け、すぐに前を向き直しますが、ずっとシリルを見ているドロイドが1体だけいます。
私はこの個体がK-2SOになるのではないかと思いました。
心躍るシーンは、ここだけです。
広場に集まった群衆の中にレジンの姿があり、彼が歌い出すと群衆もそれに続き歌い始め、いつしか大合唱になります。
ゴーマン国歌なのかもしれません。
その光景を忌々し気に窓から眺めるデドラの元に、シリル・カーンがやってきて、デドラを問い詰めます。
このシーンは重大なネタバレになるため詳細には記載しませんが、一連のやり取りは『スター・ウォーズ エピソードIII/シスの復讐』、ムスタファーでのアナキンとパドメの会話を思い起こさせるものでした。
苦渋の決断。シリルが選んだ道とは。
広場のあちこちでは小競り合いが始まり、破滅へと一直線に向かっていきます。
「ゴーマンの虐殺」が始まったのです。
帝国側にも多数の被害者が出ていることから、カイドー大尉はドロイドチームを戦いに投入します。
それにより戦局は一変し、帝国軍の圧倒的優勢に傾きました。
銃弾も効かない無敵のドロイドたちによって、ゴーマン市民は次々と命を落としていきます。
この無慈悲な殺戮を続けるドロイドの中に、後のK-2SOがいるのだと思うと、胸が締め付けられました。
自身のまわりで起きている惨劇を眺める茫然自失のシリルでしたが、その目がキャシアンの姿を捉えました。
血で血を洗う銃撃戦が繰り広げられる中、「ゴーマンの虐殺」とは別の、もうひとつの戦いが幕を開けます。
シリルとキャシアン。両者ともに決して「武闘派」というわけではありませんが、その戦いは徒手空拳での壮絶な殴り合いの様相です。
一進一退の戦いの中、先にブラスターを手にしたのはシリルでした。
しっかりとキャシアンに狙いを定めます。
この状況になってしまったら、先は見えています。完全にあからさまなフラグでした。
今にもトリガーを引きそうなシリルに対し、キャシアンが放った言葉は、「お前は誰だ?」。
キャシアンは、シリルの顔さえ記憶になかったのです。
その事実を知ってか、ゆっくりとブラスターを下ろすシリル。そして…。
この後、キャシアンには後にK-2SOとなるKXドロイドとの衝撃的な出会いが待っています。
シリル・カーン。
悠久ともいえるスター・ウォーズ史にあって、彼は一介のモブキャラにすぎないのかもしれません。
しかし、私は彼を決して忘れることはないでしょう。スター・ウォーズの帝国軍内部に所属していながら、揺るぎない信念と正義に人生を捧げた銀河の英雄のひとりとして、シリル・カーンの名を深く心に刻み込みました。
第9話 『ようこそ反乱へ』
雨のコルサント。
ゴーマン代表の議員であるオラン大使が、令状も罪状も明かされないまま帝国軍に逮捕されました。
ゴーマン人の大量殺戮という一線を越えた帝国に対し、ついにモスマは腹を括ります。
心強い協力者のベイル・オーガナとともに、ゴーマン虐殺という真実を議会で訴えるための計画を練り始めるのでした。
この1話は、「世の中に真実を伝える」ということが如何に難しいのか、そしてそれを成そうとする者がどれほどのリスクと犠牲を払うのかを如実に物語っており、リアルワールドにも直結する教訓を与えてくれます。
このエピソードを見終わるころには、なぜモン・モスマというひとりの女性が、長きに渡り反乱同盟軍のトップであり続け、メンバーのみならず多くの民衆から支持、信頼され続けたのか、その理由を理解、実感できます。
反乱活動によって、背負ったリスクや払った代償は、モンひとりの問題ではないでしょう。
その道を選択した彼女自身が家族と離れ離れになることは承知の上だったかもしれませんが、夫や娘は彼女が追われる身となった後どうなるのか。
平安な日々を送れるとは思えません。帝国から監視され、不当な扱いを受けるかもしれないのです。
愛する家族全員を人質に出すような状況と天秤にかけてでも、モンは銀河の平和を取り、反乱活動に身を捧げたわけです。
どれほどの重圧と覚悟でしょう。私のような凡人には想像すらつきません。
そして歩む道は違えども、その重圧と覚悟の重さはルーセン・レイエルも同じです。
ベイルのファインプレーにより、モスマは演説の機会を得ました。
当然ながら、演説の全文をここに掲載することは許されません。
しかし、それが許されたとしても、私は全文を掲載することはしなかったでしょう。
ぜひ、モン・モスマの訴えかけを自分の目で見、耳で聞いていただきたいと思います。
演説が終わった後は、瞬きすら許されない息もつかさぬ逃走劇が展開されます。
キャシアンはモスマに一言、「反乱へようこそ」
最後に
なんと言えばいいのでしょうか。
このドラマの素晴らしさは、数千文字を投じても語りつくすことなどできず、実際に視聴いただくしか手はありません。
次の3話でシーズン2が、『キャシアン・アンドー』が終わりを迎え、そのまま『ローグ・ワン』へと続きます。
今回の3話の重苦しさを思うと、次の最終3話は楽しみであると同時に、怖くもあります。
それでもやはり、「楽しみ」の方が勝ってしまう私なのでした。
気になる点として
- ビー(B2EMO)は今どうなっているの?
- キノ・ロイは再登場するの?


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