JavaとJavaScriptの違いを深掘りする

Java

JavaとJavaScriptというプログラミング言語は、双方とも「Java」というワードが含まれるものの、似て非なる言語であることはご存じの方も多いかもしれません。

名前が似ているため混同されがちですが、それぞれの言語には明確な違いがあります。

JavaとJavaScriptの違いと一口に言っても、観点によって様々です。
本記事では次の3つの観点から違いについて解説しています。

  1. 使用目的(活躍分野)
  2. 設計思想
  3. 実行形式

中でも「3. 実行形式」について深堀りしていくことに重点を置いています。

1. 使用目的(活躍分野)

Javaは主にサーバーサイドやエンタープライズアプリケーションで使われる強く型付けされたオブジェクト指向のプログラミング言語です。
一方、JavaScriptは主にクライアントサイドのウェブ開発で使われるスクリプト言語であり、動的で軽量な性質を持ちます。

Java

Javaは、エンタープライズ向けのサーバーサイドアプリケーション、Androidアプリ、デスクトップアプリケーションなど、幅広い分野で使用される強く型付けされたオブジェクト指向プログラミング言語です。

特に、安定性とスケーラビリティが求められる大規模なシステムやビジネスアプリケーションの開発に適しています。

Javaはそのプラットフォーム非依存性と豊富なライブラリ群により、エンタープライズ環境での利用が盛んです。

JavaScript

JavaScriptは、主にウェブブラウザ上で動作するクライアントサイドのスクリプト言語として絶対的な地位を確立しています。

動的でインタラクティブなウェブページの作成に不可欠な技術であり、ユーザーのアクションに応じて即座に反応することで、リッチなユーザーエクスペリエンスを提供します。

また、Node.jsの登場により、サーバーサイドでもJavaScriptが使用されるようになり、フルスタック開発が可能となりました。

2. 設計思想

Java

Javaの設計思想には、堅牢性、安全性、スケーラビリティ、保守性が強調されており、特に長期間にわたる信頼性の高いアプリケーション開発に重きを置いています。

キャッチフレーズは “Write Once, Run Anywhere”(一度書いたらどこででも走る)。
これは、JavaプログラムがJava仮想マシン(JVM)上で動作するため、異なるプラットフォームでも同一のバイトコードを実行できることを意味します。

当時、C言語でシステム開発をしていた私にとってこの事実は衝撃的で、リアルタイムで経験した時の驚きは鳥肌ものでした。

JavaScript

JavaScriptは、軽量かつ柔軟性を重視した言語設計が特徴です。

当初はウェブブラウザ内での動作を前提に設計され、HTMLやCSSとともにウェブページの動的な操作を可能にするための言語として開発されました。

JavaScriptの設計理念は、簡単に学習でき、迅速に開発できることを目指しており、プロトタイプベースのオブジェクト指向や動的型付けを採用しています。
また、イベント駆動型のプログラミングモデルをサポートしており、ユーザーインタラクションに即応することができます。

実例で考えてみる

例えば、次のような構成のシステムを開発しているとします。

形式Webシステム
フロントエンド言語HTML/CSS/JavaScript
バックエンド言語Java
データベースMySQL

問①「ユーザー名」が使用可能かをチェックするためのボタンを押下した際に、「ユーザー名」が未入力だった場合にエラーメッセージを表示する機能を作ります。

JavaとJavaScriptのどちらでプログラムすべきでしょうか?

問②「ユーザー名」と「パスワード」を入力して、ログインボタンを押下した際、入力された情報と一致する情報をデータベースから検索します。

JavaとJavaScriptのどちらでプログラムすべきでしょうか?

3. 実行形式

深掘りポイントです。

両者の実行形式の違いを知るために、まずは「コンパイル」という用語の知識が必要になります。

コンパイルについて

コンパイル(compile)とは、プログラミング言語で書かれたソースコードを、コンピュータが直接実行できる形式(機械語)に変換するプロセスのことです。

コンピュータが直接実行できる形式(機械語)」とは、コンピュータのCPUが理解して実行できる言語のことを指します。
機械語は「マシン語」とも呼ばれ、一般的に二進数(バイナリー)形式で表現されます。

通常、コンパイルにはコンパイラーと呼ばれる特別なプログラムが使用されます。

【参考】コンパイラーの役割

コンパイラーは以下のステップでソースコードを変換します。

  1. 字句解析(Lexical Analysis):ソースコードを読み取り、単語やシンボルのような基本単位に分割します。
  2. 構文解析(Syntax Analysis):字句解析で得られた基本単位を組み合わせて、プログラムの構造を解析します。
  3. 意味解析(Semantic Analysis):プログラムが意味的に正しいかどうかをチェックします。例えば、変数の型が正しく使われているかなどです。
  4. 中間コード生成(Intermediate Code Generation):プログラムの抽象的な中間表現を生成します。これはプラットフォームに依存しない形式です。
  5. 最適化(Optimization):中間コードを最適化して、効率的な実行が可能な形に改良します。
  6. コード生成(Code Generation):最終的に、中間コードを実行可能な機械語やバイトコードに変換します。

JavaとJavaScriptの実行形式の違い

簡潔にまとめると、Javaはプリコンパイル(Pre Compile)される言語であり、JavaScriptはJITコンパイル(Just-in-Time Compile)される言語です。

Javaのプリコンパイルについて

Javaのプログラムは、次のステップで実行されます。

  1. ソースコードからバイトコードへ:Javaのソースコードは、まずコンパイルされて中間言語(バイトコード)に変換されます。このバイトコードは.classファイルとして保存されます。
  2. バイトコードの解釈:Java仮想マシン(JVM)はこのバイトコードをインタープリターとして逐次解釈しながら実行します。
  3. JITコンパイル:頻繁に実行される部分(ホットスポット)が検出されると、JITコンパイラーによってバイトコードが機械語(マシン語)にコンパイルされます。これにより、再度解釈する必要がなくなり、実行速度が向上します。

JVMとはJava Virtual Machineの頭文字をとった略です。
JVMは、JRE(Java Runtime Environment)に含まれます。

両者とも「J」で始まる三文字略語で混同しやすいですが、この関係性を覚えておきましょう。

JavaScriptのJITコンパイルについて

JavaScriptのプログラムは次のステップで実行されます。

  1. 初期実行:JavaScriptコードが最初に実行される際、エンジンはインタープリターとしてコードを逐次解釈しながら実行します。この段階では、まだJITコンパイルは行われていません。
  2. ホットスポットの識別:実行中に、JavaScriptエンジンは頻繁に実行される部分(ホットスポット)やパフォーマンスクリティカルなコードセクションをモニターし、識別します。
  3. JITコンパイル:ホットスポットとして識別された部分のコードは、JITコンパイラーによって機械語(マシン語)にコンパイルされます。このプロセスにより、頻繁に実行されるコードのパフォーマンスが大幅に向上します。
  4. 実行の最適化:機械語(マシン語)としてコンパイルされた部分は、以後の実行時に再コンパイルせずに直接実行されるため、パフォーマンスが最適化されます。

比較と違いのまとめ

JavaJavaScript
中間形式一度バイトコードにコンパイルされてから実行される直接ソースコードからインタープリターで解釈される
コンパイルのタイミングソースコードのコンパイルが事前に行われる実行時にJITコンパイルが行われる
エコシステムJVMという仮想マシン上で実行されるブラウザまたはNode.jsのランタイム環境内で実行される

実行形式の違いによる変数宣言方法の差異

Javaは静的型付けの言語であり、JavaScriptは動的型付けの言語です。

もう少し噛み砕くと、Javaでは変数を宣言する際にデータ型を明示する必要があります。
例えば、整数の値を入れるための変数であれば「int number = 10;」 のように型を指定します。
一方、JavaScriptは変数の型を実行時に動的に決定します。そのため、変数宣言時には型を指定する必要はなく、すべて「let」(ECMAScript 2015以前であれば「var」)で宣言できます。

静的型付けのメリットとデメリット

  • メリット
    • コンパイル時に型チェックが行われるため、エラーが早期に発見されやすい
    • コードの信頼性が向上し、大規模なプロジェクトでも保守性が高まります。
  • デメリット
    • 学習の初期段階での学習コストが高い
    • 型の明示が必要なため、コードが冗長になる場合がある

動的型付けのメリットとデメリット

  • メリット
    • 型を意識せず柔軟にコードを書けるため、特に小規模なプロジェクトやプロトタイピングでは、迅速な開発が可能
    • 学習初期段階での学習コストが低い
  • デメリット
    • 型の不一致によるエラーが実行時まで発見されないことがあるため、大規模なプロジェクトでは慎重な管理が必要

Javaのバージョン10で、varキーワードによる変数宣言が可能になりました。
しかし、これは動的型付けではなく「型推論」です。

「var number = 10;」とプログラムした場合、コンパイラーは変数 number のデータ型を int であると推論します。そしてその後、別のデータ型の値を代入することはできません。

つまり、型推論を使用する際には、変数宣言と同時に初期化を行う必要があります

この仕組みにより、Javaのコードを簡潔にしつつ、静的型付けの安全性を保つことができます。

最後に

本記事では、JavaとJavaScriptという二つのプログラミング言語について、使用目的、設計思想、実行形式、変数宣言の方法など、さまざまな観点から比較してきました。

JavaとJavaScriptは、それぞれ異なる強みと用途を持つ言語です。
プロジェクトの要件や開発環境に応じて、適切な言語を選択することは大変重要なので、両者の違いを理解することで、より効果的で適切なプログラミング言語の選択が可能になります。


本記事についての質問、誤りの指摘、ご意見ご感想などありましたら、ぜひコメント頂ければ幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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